外に出たい!施設で過ごす志水さんの唯一の願いは自宅で過ごすこと♪

故郷の食

行きたいのは整形外科か?目医者か歯医者か?

志水さんは4日前の転倒による打ち身の痛みが引かず、「痛い、痛い」と繰り返し訴えていました。

志水さん
志水さん

腰が痛いの!!

私は骨折の可能性を心配して看護師に相談しましたが、「本当に骨折していれば自力で歩くことはできないはず。食事の際も自分で歩いてきますし、朝も自分で起きてトイレに行けているので、おそらく打ち身でしょう」と、あまり深刻ではない様子で返されました。

看護師
看護師

おそらく打ち身でしょうね♪

少し不審に思い、「じゃあ自分で病院に連れて行ってみよう」と日を改めて、今日施設に行ってみた。

しかし、志水さんはだいぶ痛みが引いたみたいで、「もう病院は行かなくてもいい」という返事。

志水さん
志水さん

痛みが治まったから…もう、病院はいいわ!

沙衣
沙衣

連れていくつもりだったのに・・・

こちらは病院にがっつり連れて行くつもりで、事前にお昼のご飯もお断りしていた。

そのため、本人が「病院に行かなくてもいい」と言っているとはいえ、ご飯も断ってしまっている状態。

そこで「じゃあ家に連れて帰ろう」と思い、施設には「病院は行かなくていいみたいなので、家に連れて帰ります」と伝え外出届を出して志水さんを車に乗せて施設を後にした。

行先変更!

車に乗り込むと、志水さんは「目が痛くて開けられないから、眼科に連れて行ってほしい」と要望を変えてきました。

「家に帰るより、眼科に直行したほうがいいの?」と確認すると、本人は眼科を強く希望。

保険証を預かってきていないことが気になり、「マイナンバーカードはあるから大丈夫かな。でも、お薬手帳も手元にないし……」と不安は尽きません。

しかし、本人が目の前にいて、マイナンバーカードさえあれば受診は可能なはず。

あれこれ悩むよりも、まずは本人の希望を優先して眼科へ向かうこととした。

いつも満員状態の眼科

ついたのはK眼科。

 相変わらず車が多い。駐車場が満車である。

一箇所、唯一空いているところがあるが、身障者用じゃないので車幅は狭い。

車椅子を出すことを考えると出やすいようにしておきたいが難しい。

仕方がないので、頭から車を突っ込んで、後部座席の車椅子を出すことにする。

志水さんを車椅子に乗せて、病院の中へと入っていく。

「目が痛いとのことで連れてきました。予定は来月なんですが、急なことなので見ていただけますでしょうか」と聞いてみる

 受付の女性が「前回8月に来ていますね。もしかしたら、まつ毛が痛くなってきているのかもしれませんね。こちらへどうぞ」とやさしく受付してくれた。

そう、志水さんは逆まつげがあるのだ。

毎度毎度この逆まつげが生えてくると、痛くて痛くてしょうがないらしい。目にまつげが刺さってしまって、目が痛くなってしまうのである。

実際、この逆まつげをなくすには、大きな大学病院に行って手術をするのが一番いいらしいが、何しろ大学病院までは1時間半の距離がかかる。

志水さん自体が高齢者でとても行ける状態ではなく、本人も行きたくても行けないと愚痴をこぼしている。

これは3年以上前の話である。

なので、改めてまつ毛を抜いてもらうこととした。

病院には車椅子で行ったけれども、特別な、高さを変更できる車椅子専用の台車(台車専用の車椅子みたいなもの)があり、それに乗り換えて、志水さんを移動させながら手当てをしてくださる。

ここの眼科は非常に親切である。きちんと患者に目線を合わせて、しっかりと今日診察する内容を本人に確認し、案内してくれる。

付き添いの座る席が足りなくなればすぐに簡易椅子を運んできてくれる。

待つこと50分程度。思ったより早く終わった。

逆まつ毛を全部抜いてくれたみたいで、志水さんは少しすっきりした顔つきになっている。

会計で待つこと20分。

少し待ったけれども思ったより早く終わった。

かといって志水さんの自宅まで連れて帰るにはもう時間があまりない。

できることなら自宅に連れて帰ってあげたかったけど、連れて帰ったらすぐにまた帰らなければいけない時間になる。

仕方がないので、自分の家にそのまま連れて帰って、志水さんと一緒にご飯を食べることとする。

自宅では、文さんが車庫のシャッターを開けて、車を停められるようにしてくれている。

文さん
文さん

シャッター開けといたぞ!

車庫には車が2台入る。いつもは自分が出入りしやすい左側に車を入れているのだが、帰ってみると、助手席の方が出やすいように右側のシャッターが開けてある。

これは、志水さんが降りやすいように計算して、シャッターを開けてくれている文さんの思いやりである。

文さんも久しぶりに志水さんと再会できたことが嬉しそうで、元気そうな様子に少し言葉を交わしながら、二人で一緒に家の中へと入っていった。

ランチタイム

文さんと志水さんが語り合っている間に、私はお昼の準備を始めた。


しかし、炊飯器のスイッチを入れ忘れていたことに気づき、愕然とする。なんということだ。
慌てて早炊きモードにしてスイッチを押したが、炊き上がりまでまだ30分以上はかかりそうだ。

「ごめん、ご飯炊き忘れてて。まだ30分以上かかる。もうちょっと待っててね。」

そう言うと志水さんが、「いや、ご飯はいらない」と返事をする。

いつもご飯をよく食べる志水さんだから、遠慮しているんだろう。

仕方がないから、少し硬めの冷凍しておいたご飯を急いで解凍して出すことにした。

 今日のお昼のメニューはこんな感じ。

  • ご飯
  • 小松菜とえのきだけ&豆腐の味噌汁
  • かぼちゃの煮物
  • 茄子のお浸し
  • パンプキンスープ
  • キーウィのヨーグルト和え

まぁまぁかな?

文さん
文さん

ご飯が固いな…

文さんからは「ご飯が固い・・」とつぶやくように言われるが…

ご飯を少なめにして全体のボリウムを加減して出したら文さんも志水さんも二人とも完食!

よかった(ホッとため息)。

それから二人は最近の話をあれこれ情報交換・・・

年寄りになったらこうやって話をする人が欲しいんだよね

誰でも年を取る

たくさんの時間は難しいけれど

1ケ月に2~3回でも外に出て

今まで住んでいた環境に身を置いて

ゆっくりと時間を過ごす

本当なら自分の家でゆっくりと過ごせることが一番なんだけど

誰かが一緒についていないと

過ごせない

トイレもひとりで行けない

ご飯も作れない

食後の後かたずけもできない

今まで自分でやってきたことが

できないことが

どんなにつらく

心苦しいことか

志水さんもこの90年以上自分ですべてやってきた人だ。

畑で作物を作り

車に乗って買い物をし

朝昼晩毎日3食

レトルト食品どころか、総菜を買うのを見たことがない。

彼岸には草餅やぼた餅を自分でつくり、

みんなに配っていた

母の命日、先祖の命日、盆、正月には

庭に植えた花を剪定ばさみで切り

お供え物と一緒に持ってきてくれていた。

つい最近までカボチャも自分で煮込んで作っていた。

それでも

今はもうできない。

いつかはみんなやってくる

こんな時間を大切に

ひと時でいい

施設を出て

自分の家(空間)にもどりたい

そんな空間を少しでいい

作ってあげたい。

結局、どこまで経っても、みんな自宅に帰りたいのである。
過ごしたいのは、実は自宅なのである。

ご飯を食べた志水さんは施設にけることを拒むことなく

車に同乗し、帰りの岐路についた。

【今日の嬉しかったこと♪】

  • 文さんが車庫のシャッターを開けておいてくれたこと♪
  • 混んでいる眼科で旦那様の付き添いに来ている女性の座る席がなくて、私は帰る寸前の会計まちだったので椅子を譲ったら、別の男性が直後に私に席を譲ってくれたこと。(ペイ・フォワードみたいでうれしくなった♪)

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